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『天気の子』感想(自主制作映画監督の視点から見た撮影考察)


映画「君の名は。」から3年。新海誠監督の新作映画「天気の子」。


遅ればせながらわたしもこの話題の作品「天気の子」を見に行ってきました。

感想として素直に面白いと感じました。

「ボーイ・ミーツ・ガール」「主人公の成長」「神秘的に描かれたヒロイン像」といった王道的なテーマとメッセージ性の強さが相まって、観了感が健やか作品でした。


映像美もさすがで、隣に座っていた幼稚園くらいの女の子なんかは、雨から天気に変わる演出の度に身を乗り出して、目をキラキラ(してるような気がしました)させながら、作品の映像美に見入っていました。(正直、微笑ましく思っていました)


あと、私が「天気の子」見に行く前ツイートの書き込みの中で、”PS2で天気の子みたいなゲームを遊んだことがある”、”ギャルゲっぽい”とか、”ターニングポイントの節々で選択肢が見えた”なんていうものを良く見かけていたのですが、視聴後に実は私も同じような既視感を感じていました。

選択と結果によっては、バッド・エンドの可能性が多くみられた設定だからでしょうか?

一歩間違えると「実家へ強制送還」「拳銃保持で逮捕」「ヒロインと出会えない」などなど、よくもまぁ今回のエンディングまでたどり着いたものだと関心しました。

極めつけは「登場人物全員の信頼値を挙げないとヒロイン未救出」といった具合でしたもんね。

いえ、なんていうかこういうプロットの作品好きなんですよ。





新海誠監督の作品との出会い


筆者が新海誠作品と出会ったのは「ほしのこえ」がテレビの特番で放映されたときでした。

たったひとりのクリエーターが「ほしのこえ」というアニメ作品を制作したという事実に同じクリエーターとし立ち上がったばかりのわたしは、嫉妬心とも一向に新作シナリオを書き上げられない自分自身への憤りともつかない気持ちと、映像は一人では作り無いという凝り固まった固定概念が崩れていくような、そんな衝撃をうけました。


そして、3年前、一大ムーブメントを巻き起こした「君の名は」の公開でした。

いままでの作品構成に更にエンターテイメント性をこれでもかと盛った構造の作品に、今までの新海誠監督作品とはまったく違うぞと衝撃を受けました。


今回は、そんな新海誠監督の新作を同じクリエーターでもある私の目線から感じたことを少しでもお伝えできたらと思います。



「天気の子」あらすじ

高校1年生の夏、帆高は離島から逃げ出して東京に行くが、暮らしに困ってうさんくさいオカルト雑誌のライターの仕事を見つける。雨が降り続くある日、帆高は弟と二人で生活している陽菜という不思議な能力を持つ少女と出会う。





光と影の役割


「光」の果たす役割は大きく、それは「影をどう扱うか」と「光をどう表現するか」の2つの手段にわけられます。

 絵という表現手法をいかに現実のように感じてもらうか。それはアニメーション表現のひとつの目標でした。

新海誠監督の作品では、少なくともこれがクリアされているのではないかと思っています。

更に言うと、更にアニメーションならではの手法を取り入れることで実写表現よりもリアルが質感を表現しているかのような錯覚を起こしていることもしばしばあります。



新海誠監督の作品の特徴のひとつとして、強めのハイライトと映り込みの強調された書き込みがある。

普通に撮影すると暗く陰鬱に写ってしまうこのシーンも、通常よりも露出度を上げることで、夏美さんの魅力が頭一つ分、上がって見えるのではないでしょうか。



たかだか露出を上げるだけの工程なのですが、これを実写表現でやろうとすると、若干の勇気とセンスが問われます。露出を+1.0上げるだけでわざとらしさや不自然さが際立ってしまうのではないか、と思い悩んでしまいます。現場のカメラマンにこのシーンは気持ち露出高めでと支持を出しても、全体のバランスのことを考えてしまい、カメラマンが躊躇する場面によく出くわします。




レンズフレア/ゴーストの多様


そもそも、ゴーストやフレアは「現実世界に実際には存在しない光」です。どちらも太陽光などの極めて強い光をレンズがとらえたときに見えるものです。

新海誠監督の作品ではこの、レンズフレアの効果を多様することで、世界の美しさや自然の神秘を表現しています。


この表現を実写映像でも再現しようとすると、これが極めて難しいです。

上記表現をカメラマンにお願いすると、渋い顔をされながら「難しい」と説得され、強行したとしても、できないことが8割、残り2割は奇跡の一枚的な感じになっています。

ただしゴーストやフレアを実際に撮影する場合のテクニックや条件もあるんです、大きく3つにわけられます。。



条件1:

太陽光などの極めて強い光源を用意し、光をレンジに取り込むことで、レンズ内での反射が起こりフレアを発生させる。このため、曇や雨の日はフレアを出すことは難しい(「天気の子」では天気雨の中フレアを発生させて、画面のキラキラ効果を発揮していますが、実際にこれを撮影することの難しさがわかります)


条件2:

少し古いレンズを用意します。各カメラメーカー/レンズメーカーはできるだけゴーストやフレアが出ないように技術を発展させてきました。なので古い設計のレンズ、コーティング技術がまだ発達していない時代のレンズを使用することで、意図的にフレアを発生させることが可能になります。


条件3:

強い光を真ん中に入れない、真ん中に光を入れてしまうと画が白飛びしすぎてしまい、フレアどころではなくなってしまいます。


上の条件が揃って、フレアを表現することができるのですが、アニメ表現のような、解像度も高く、更に「天気の子」のように雨の日にこんなキラキラ表現を多様するっていうのがなかなか実写では難しいところです。



最後に

CGやアニメだからこそできること、が注目されている昨今ですが、実写や特撮映像だからこそできることを探し、今後私なりの作品を、作っていきたいと感じました。



「天気の子」スタッフ/基本情報

監督・原作・脚本:新海誠

製作:市川南・川口典孝

企画・プロデュース:川村元気

音楽:RADWIMPS

主題歌:RADWIMPS・三浦透子

製作年:2019年

製作国:日本

配給:東宝

上映時間:114分



「天気の子」登場人物/キャスト

醍醐虎汰朗:森嶋帆高

森七菜:天野陽菜

本田翼:夏美

吉柳咲良:天野凪

平泉成:安井

梶裕貴:高井

倍賞千恵子:立花冨美

小栗旬:須賀圭介



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【最終更新日時 2020/05/24】

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